ベトナム出張の話を書こうと思ったのですが、なんせ仕事で行っているので何でもかんでも書くと情報漏洩になっちゃいそうです。
なので断片的な事を書いていく事になるんですが、じゃあなにを書こうかなぁ……となって写真を見返すと犬をいっぱい撮っていたので、ベトナムの犬のことを書きます。
ベトナムに来る前は「犬に噛まれると狂犬病の危険があるから注意」という情報をどこかで見ていたんですが「ゆうてダナン(滞在した都市)は都会だし大丈夫だろ」と思っていたところ、蓋を開けてみると犬めっちゃいました。
犬いっぱいいるしほとんど全ての犬が放し飼いにされています。
最初は野良犬かと思ったけど、どうもちゃんとペットとして飼ってるっぽいです。
というか“野良犬”という言葉をお世話してくれたベトナム人が誰も分からなかったので、野良犬という概念自体が薄いのかもしれない。野良犬も他人のペットも同じだから。
最初のダナンの1週間はずっと雨だったので、外で犬に出くわすと彼らはずぶ濡れで街をうろついており、雨垂れの間を縫って家々の軒下から軒下へ移動していました。
その姿を見るとどこか特定の家の飼い犬とはどうしても思えなかったので「いやあれ絶対野良犬でしょ怖〜!」と思っていたんですが、何日か過ごしていると、犬と人間の距離が妙に近いのに気付きます。
道の木にハンモックをかけて寝ているオッサンの真下で爆睡するトイプードル(ハンモックが切れてオッサンが落ちてきたらたぶん死ぬ)とか
残飯をあさった後残飯がもらえないかちょっと待ってみて、何もくれなかったらどっか行く犬(あの犬、この店の犬じゃないんか? ってなった)とか
人間が犬をそういうものとして認識している、犬は居るもの、噛んだりしない。っていう認識でいるから犬も“ふてぶてしく”なってる。
なるほど、つまりベトナムの犬は“ふてぶてしい”から噛まないな。と気付いた僕はそこから犬の写真をよく撮るようになりました。
僕は犬が好きなのです。
ベトナムの犬は「おっ犬だ」と言うとこちらに気付きます。日本語が分かるのでしょう。
ベトナムの犬は道路を渡る時にちゃんと左右確認して渡ります。この犬も車が来る方向(ベトナムは右車線)を見て渡ります。
この子のように首輪をつけている犬もいるけれど、基本的に首輪もせず放し飼いです。
この犬がいたのはホイアン(めっちゃ観光名所)なので、そういうところでは飼い犬アピールをしたりするのかもしれません。
この2匹は片方だけリードに繋がれてます。何か事情があるのか。
日本と同じくトイプードルが人気なのか、結構いました。トイプードルも放し飼いです。
人を恐れず歩道でふんぞり返る。それがベトナムドッグスタイル。
ところで僕の仕事相手で今回たくさんお世話になったテイさんと犬の話をしたところ、日本の犬は高過ぎる! と言っていました。日本のペットショップに行ったら値段の高さにビックリしたそうです。
僕は、ペットショップは高いけど保健所でもらったらほぼタダだとを教えてあげました。
その流れで日本の犬は放し飼いにしてたら保健所に捕まってしばらくしたら殺処分されることや、殺処分前に貰い手が見つかったら助かるということを伝えました。
「どうして捕まえてしまうんですか?」
「1番は狂犬病が怖いからですよ。それに野生でどんどん増えて管理できなくなるとか、そういう理由も色々とあるでしょうね」
そういうことを話しながら、僕は自分の言葉のニュアンスがテイさんにどういう様に伝わっているのか気になってしまいました。
なんだか、ベトナムの犬は日本の犬よりのびのびしていて幸せだ。とか……
ベトナムは犬の管理が出来ていないので危険だ。とか……
このどちらかのニュアンスで伝わってしまったような気がしたのですが、僕としてはどちらのニュアンスでも伝えるつもりはなかったのです。
僕はただ「日本の犬はこうだよ」という事を伝えたかったのに、喋っていると何故かどうしても比較のニュアンスのようになってしまう。
こういった嫌でも比較して考えたり、何かを喋らされる状況をベトナムでは何度も経験しました。
でも僕はベトナムの犬を見て日本の犬と比較したくはなかった。
これは全然言語化できていないのだけど、彼らは犬としてそこにあるだけというかベトナムの景色の中に綺麗に馴染んでいるだけで、「日本の犬よりも幸せそう」というような事は僕は思わなかったのです。
彼らは首輪を付けられていない分、日本の犬よりも自由なのかも知れないけれど、だからベトナムの犬の方が幸せ……っていう論法はちょっと雑だと思うし、そもそも犬自身が「我々は日本の犬よりも幸せだワン🐶」なんて比較して考えることは無いので、人間の側に立ち過ぎた考え方のような気がするのです。
だから前述したニュアンスで伝わるとちょっと違うな……と思ったのですが、肝心のテイさんの反応は
「ふぅ〜ん」
でした。
テイさんが何を感じたのか、僕の言葉をどういうニュアンスで受け取ったのかは結局分かりません。
テイさんはバリバリ日本語ができる人なのですが、こういう“もどかしさ”も結構あるので、また違うベトナムの話を書く時にもどかしさを感じた話が出てくるかもしれません。
まぁ、言葉を伝える時のもどかしさは日本人同士も一緒か……言語の壁って同じ言語同士でもあるんだなぁ。
というわけで、犬の話でした。