魚の感想

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2つ目の階段

仕事で出向いている会社のビルを登る時、まだ夏の暑さが気にならなかった時期は、ビルの階段を使っていた。健康診断の結果もあまり良くなかったし、少しは運動しておかないといけない。

 

そのビルの階段は暗い。照明は各階の表示灯になっている蛍光灯と、非常口の緑色の光しかない。

空気も悪い。1階のエントランスからの入り口も含めて全ての階の出入り口がドアで締め切られているからだ。空調も無い。

でも意外に人の出入りは多い。人とギリギリすれ違えるくらいの狭い階段なので、すれ違う場合は気を遣って少し身をよじる必要がある。

 

ビルのエントランスにはその階段のドアがあるわけだが、そのドアの近くにも似たようなドアがある。

会社の人に「こっちのドアの向こうはなんですか?」と聞いたら「そこは階段だよ」と言われたので混乱してしまった。そのドアを開けると確かに階段が出てきた。まるでもう一つの階段をコピーしたような階段が光量の足りない薄緑色に照らされている。

最初は全く同じ階段に見えたので、1つ目の階段に繋がる別のドアなのかと思ったがそんなことは無かった。このビルに2つ目の階段があるということを、この時初めて知ったのだった。

 

あまり大きなビルではないのに2つも階段があるのは不思議に思ったが、おそらく建築法みたいな法律で2個作ることが決められているのだろう。それにしても2つの階段の距離が近い気がする。

 

ところで、僕は2つ目の階段をまだ使っていない。なぜか2つ目の階段を使う気分にならなくて、そのうち真夏になってしまい暑くてエレベーターを使うようになってしまった。なぜ不思議がっていたのに「今日は試しにこっちの階段を使ってみるか」という気分にさえならなかったのか、それは分からない。

 

もう一つ奇妙なことは、オフィスのあるフロアから階段につながっているドアがどれか分からないということだ。

当然、僕が知らないというだけで、探せばあるのだろうが、逆に探しても無かった場合どうすればいいのだろうか。

 

僕は2つ目の階段の入り口を少し覗いてみただけなので、2つ目の階段の先に何があるのか知らない。

エントランスにある2つ目の階段を上った先にあるのはいつものオフィスなのだろうか。ひょっとしたらその先にあるのもコピーされた何かかもしれない。

そんなことないか。