人類は不死身の領域に触れたが、人間を不死身にするにはまだまだ時間がかかる。
不死身化の成功は細菌、微生物、植物と続き、昆虫で止まった。
不死身の昆虫をどう使うか? 答えは虫発電だ。
テントウムシは正の光走性を持っており、光源へ向かって進む。テントウムシを小さなシーソーに乗せると上(太陽)に登っていくが、登りきるとシーソーが動いて下に降りるのでまた上を目指して登る。この動きはテントウムシが死なない限り永遠に続く。
このシーソーの動きを電気に変換するわけだ。1台のシーソーの発電力は微々たるものだが、それが10億台ほどあればどうだろうか?
これがテントウムシ発電である。
そして僕の仕事は月平均0.0001%で起きる動作不良への対応(月1,000件)だ。
“止まってしまった”テントウムシに遠隔で電気刺激を与えて再び“動かす”。
テントウムシが止まる理由は分からない。死んでしまったわけではないらしい。シーソーゲームにいい加減ウンザリしてしまうのだろうか?
「おい! 手が止まってるぞ!」
あぁ、ボーっとしていて怒られてしまった……
そうして僕は今日も小さなシーソーを見つめるのだ。