魚の感想

twitterの外付けの感想置き場として使っています。

「彼女たち」の夢

僕と相棒は2人で学校へ向かう。その大切な相棒の顔は目覚めた時はいつも思い出せない。毎回同じ人のような気がするし、毎回違うような気もする。

僕らは2人で「学校」へ向かう。たわいもないことを喋りながら、子供のように無邪気に遊びながら、ある時は酒を飲みながら……そうして「学校」が近づくと知り合いに出会う。知り合いは1人だったり2人だったりする。彼らはいつの場合でも僕の同級生だったと思うが目覚めたらはっきりと思い出せなくなる。

 

僕らは知り合いの彼らと一緒に「学校」へ行く。「学校」は、たぶん小学校だと思う。僕が通っていた小学校に造りが似ているから。だが、荒れ果てていて、ところどころの窓は割れ、床には廃材のクズが散らばり、靴箱は半分崩壊している。そして誰もいない(いや、実際には人じゃないのがいるのだが)。僕らは校庭や靴箱の前で知り合いの彼らに「離れるな」とか「言うことを絶対に聞いてくれ」とか説明をする、これから何が起きるかを知っているのだ。

 

校舎に入った僕らと彼らは階段を上へ上へと登っていく。なぜかは分からない。上に何かあるのだろうか? 僕は知らない。

もしかしたら相棒は何か知っているのかもしれない、でも僕らは「彼女たち」が来るからこの冒険が失敗することも知っている。そもそも僕らはどうして何度も「学校」へ行くのだろうか? まずそれが分からない。だが僕らはとにかく上を目指す。

 

上には犬くらいのブヨブヨの生き物や巨大な猿のような怪物がいる。僕と相棒は持っている拳銃で手当たり次第に敵を撃っていく、ブヨブヨの犬は弱いが巨大な猿はなかなか死なないので、攻撃を避けつつ撃ちまくる。僕らは苦戦することもあるが負けることはない。僕らに着いてきている知り合いの彼らは武器を持っていない、彼らにできるのは驚くことと、僕らの後ろに隠れることだけだ。

 

僕らは上に登っていく。そろそろ「彼女たち」が来るかなと思っていると、「彼女たち」は来る。もしかしたら「彼女たち」を呼ぶのは僕なのかもしれない。むしろ「彼女たち」を作り出しているのが僕なのかもしれない(そりゃそうか、僕の夢なんだから)。

「彼女たち」を見たら僕も相棒も「逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ!」と叫ぶ。「彼女たち」は2人組の女生徒で制服を着ていて、1人は髪が長くて背が高く、もう1人は髪が短くて背が低い。顔は分からない。すぐに頭部が変形するからだ。まるで「寄生獣」のパラサイトや「バイオハザード」のプラーガのように変形して、触手で僕らの体を切り裂いてくる。

 

「彼女たち」には敵わない。何発銃弾を撃ち込んでも全く効いていないような感じである。僕らと知り合いの彼らは逃げるしかない。

いま登ってきたばかりの階段を今度は下へ下へと全速力で降りて逃げる。「彼女たち」の声が後ろから聞こえてくる。

「追いかけて! 早く!」

「いける! いける! 間に合うよ頑張って!」

「やった! 1人殺したよ!」

その声は必死さの中に全力の楽しさが溢れている。「彼女たち」はこの一方的な殺戮を楽しんでいる。これはゲームなのだ。

 

知り合いは八つ裂きにされる。相方も僕より先に殺される。僕が先に殺されることもある。殺される時に恐怖はない。恐怖があるのは追いかけられている時だ、僕は恐怖を原動力にして逃げる脚を動かす。逃げる時は知り合いのことも、相棒のことも考えない。ひたすら逃げることだけに集中する。

階段を降りて逃げる時にも、もはや階段は使わない。普通に降りていてはすぐに追いつかれるから、僕は階段の内側の手すりに乗って、すぐ下にある階下の手すりにジャンプする。これを猛スピードで繰り返すので、降りるというよりも落ちるに近い。そうやって僕は逃げるが、それでも「彼女たち」に追いつかれる。そして一瞬で殺される。

 

さっき述べたように殺される時に恐怖はない。「あぁ、またダメだったか」と思うだけだ。夢の中でも僕はこの夢が繰り返されることを知っている。

 

これを書く直前、僕はまたこの夢を見て死んでしまった。だが、今回の夢は少し発見があったので、書き記しておこうと思う。

 

いつものように「彼女たち」に会って知り合いと相棒を殺された僕はどうしようもなくなって窓から飛び降りた。足から落ちた僕は死ぬ前に少しばかり意識があったのだが「彼女たち」は苦しむ僕を窓から見下ろすだけでトドメを刺しに来なかった。単純に、もう死ぬからほっといたという話なだけかもしれないが、僕が思ったのは校舎の外に出れば「彼女たち」のゲームは終わるのではないか、という事だ。

「彼女たち」は校舎の外の僕を窓から攻撃することもできたと思う。それをしなかったということは、何らかのルールが働いたのではないか? そういう印象を受けた。

 

だが、校舎の外に出ても、再び校舎の上階を目指さなければいけないとしたら? それが僕と相棒がこの夢の中でやらないといけないことなのだとしたら? 校舎の外まで逃げ切れたとしても何の意味もない。それか、もしかしたら僕らは「彼女たち」のおもちゃになることこそが、この夢の目的なのかもしれない。だとしたら、これは本当に僕の夢なのか。本当は誰の夢なのか。