目が覚めたのだが体が動かない。
力を入れても思うように動かない、金縛りだろうか?
無機質な低い天井が目の前にある。
一定のリズムで明るい光が差し込んでくる。まるで灯台のようだ。
ここはどこだろう?
首を無理にひねって光が差し込む方向を見ると、丸窓があった。
窓からはライトと細い光の線と、なんと地球が見えた。そしてライトと地球が何度もすごいスピードで通り過ぎていく。
なんだこれは?
「どうしました?」
いつの間にか近くに人が来ていた。
「地球……ですよね?」
「いえいえ、ここは軌道試験施設3号棟ですよ」
窓の外に見えるものを聞きたかったのだが、この場所の事を言われた。
「覚えておりませんか? 記憶の欠落が見られますね」
その人は、ここが宇宙治験用の宇宙ステーションであること。
僕は冷凍睡眠状態の人間を宇宙に打ち上げる治験の当選者であること。
ここは重力を生み出すため自転しており、外の宇宙が高速で動いているように見えることを教えてくれた。
「冷凍睡眠ということは……僕は、ずっと寝てた?」
「はい、治験期間の3週間ずっと」
3週間……短いのか長いのかよく分からない長さだなと思った。