魚の感想

twitterの外付けの感想置き場として使っています。

メテオ・ドラゴンと僕

こんばんは、デュエル・マスターズのアプリが発表された勢いで書きなぐります魚の精巣です。

 

おそらく乱文になります失礼します。納豆のタレが指について臭いが取れません。

 

デュエマで1番思い入れが強いカードは何ですか? 僕はメテオ・ドラゴンです。

 

当時小学校高学年だった僕らの遊びはもっぱらゲームとデュエマでした。友達の家で遊んでいて親に外で遊べと言われたら公園でデュエマをやるのです。強風の日は中止です。

 

たとえ主人公じゃなくても

その頃のみんなの憧れはボルメテウス・ホワイト・ドラゴンでした。スペックは

 

コスト7

パワー7000

W(ダブル)・ブレイカ

このクリーチャーがシールドをブレイクしたとき、相手はそのシールドを持ち主の墓地に置く(そのS・トリガーは使えない)

 

です。

 

強い、カッコイイ、そしてマンガの主人公の相棒のカードということで、そのカードを持つ者はそれだけである種の権力を持てた程でした。

 

もちろん僕も欲しかった。でも当たらない。6弾のパックをちょっと買ったところで当たらないし、カードショップでは数千円で売られていて小学生には手が出ない。ボルメテウスは僕の相棒にはならない……なぜなら僕は主人公じゃないから……

 

欲しいものが手に入らないと僕はそれを早々に諦めるタイプなので、ボルメテウス・ホワイト・ドラゴンを諦め、まだ誰も目を付けていない、真にカッコイイドラゴンを相棒にする事にしたのでした。その果てに出会ったのがそう、メテオ・ドラゴンだったのです。

 

メテオ・ドラゴン

コスト7

パワー6000

パワー・アタッカー+4000

W(ダブル)・ブレイカ

 

……お世辞にも強いとは言えない。しかしそのビジュアルを見よ。

 

ヘラクレスオオカブトのように前へ突き出た角、重量感のある爪、ちょっとだけ吐いてる炎、そして頭と腕しか出ていない大胆な構図が、見えない部分への少年の想像力を掻き立てた……!

 

カッコイイ……! カッコイイじゃないか「メテオ・ドラゴン」!!

 

こうしてメテオ・ドラゴンを相棒に認定した僕は、相棒をカードスリーブ付きのデッキに組み込み、大事に大事に公園でデュエルをしていたのだった。

ちなみにメテオ・ドラゴン率いる僕のドラゴンデッキは友達のクリスタル・ランサーによくボコボコにされていた。

 

悪童H

H君という子がいた。

 

彼は体格に恵まれており、ジャイアンみたいなヤツだった。ジャイアンみたいなヤツなので他人のカードをよく盗んでおり、被害者が何人も出ていた。

 

 

しかし彼は嫌われているわけではなかった。なぜならば、カードを盗んでもすぐにバレるような位置に置いていたり、「実は俺、お前のカード盗んでたんだよね〜」と自分からすぐ白状してしまうからだ。

 

そういう茶目っ気が、どうにも嫌いになれないヤツだった。たぶん彼にとってはカードはデュエルをするためのものではなく、そういう奪い合いも含めて楽しむものだったんだと思う。

 

それに彼は話も面白く、嫌われるどころかむしろ好かれていた方かもしれない。そういうところも含めて、ジャイアンみたいなヤツだった。

 

そんなH君にとって、僕のメテオ・ドラゴンはいい標的だったのだろう。ある日、エアガンで撃たれて穴が空いた。

 

 

エアガンで撃たれてメテオ・ドラゴンに穴が空いた

 

 

人のカードをエアガンで撃つなコラ!!!!!

 

 

オイ!!!!! 穴空いたぞオイ!!!!!!

 

 

さすがに怒った……気がする。正直あまり覚えていない。

ちゃんと怒ったんだったっけ? むしろショックで逆に意気消沈していたかもしれない。

 

ちゃんとスリーブに入れておいたのに、しっかりと「生で見たいからスリーブ外していい?」とか言って裸に剥いたあとエアガンで撃ち抜きやがったあのヤロウ……

 

「まさか穴が空くとは思わなかった〜」じゃねぇよこのヤロウ

 

とはいえ、もう空いてしまった穴はふさがらない。当時の僕は弱くて文句も言えず、とりあえず目立たないように穴を取り繕い、スリーブに戻して、ひたすら落ち込んだ。

 

そして誓ったのだ。もうこのメテオ・ドラゴンは誰にも触らせないと……

 

消えたメテオ・ドラゴン

誰にも触らせていないのに、メテオ・ドラゴンが消えた。

それはエアガンで穴を空けられてから幾ばくも経たないうちだった。

 

あんなに大事にしていたのに、どうして無くしてしまったのか。いや、正直なところ、穴が空いたメテオ・ドラゴンに対して前のような羨望はもう持っていなかった。もう大事に思えなくなってしまっていたのだ。

 

傷モノのカードなんて恥ずかしいという気持ちがメテオ・ドラゴンを見るたびに広がり、気付けば腫れ物を扱うような丁寧さで触るようになっていた。嫌気が差し始めていた。

 

メテオ・ドラゴンの穴は物理的にも、精神的にも埋めることはできなかった。

 

メテオ・ドラゴンを無くしてしまったのは残念だけど、だからって困ったりはしないじゃないか、また新しいカードもどんどん出るし、もっとカッコイイカードだって出るさ。

 

あぁ、でも、メテオ・ドラゴン……ごめんよ。

 

 

友達とカードショップに行った。並んでいるレアカードの棚をみんなで眺める。悪魔神バロムやボルメテウス・ホワイト・ドラゴンが3,000円くらいで売ってあって、みんなは「高ぇ〜!」と騒ぐ。

僕はなんとなく“ま行”の棚を見てしまう。

 

ま、み、む、め……あっメテオ・ドラゴンが沢山ある。700円かぁ、安いなぁ……買えなくはないかな?

 

買うとしたら出来るだけ綺麗なヤツがいいなと眺めていると、ひとつだけ穴が空いているメテオ・ドラゴンがいた。

 

 

「俺のやァァァァァァァァ!!!!!!!」

 

 

叫んだ。はっきり覚えている。

 

 

「俺のメテオ・ドラゴンや!!! 絶っっっっっっっ対俺のメテオ・ドラゴン!!!! おかしい!!! ここにあるのおかしい!!!! 俺売ってないし!!!!! ハァ!?!?」

 

 

完全に気が動転していると

「あっそれ俺が盗んで売った〜」

 

H君だ

 

 

「やっぱりお前かいぃぃぃぃぃ!!! お前!!! 盗むなあ!!!! 売んなや!!!!!」

 

 

こうして僕とメテオ・ドラゴンは再会した。

結局売られていたメテオ・ドラゴンはどうしたかというと、僕が700円で買い戻した。

H君は謝ったけど1円も出してくれなかった。

 

当時も今もメテオ・ドラゴンのことでH君を恨んでいるわけではないが、H君のやったことは立派な犯罪なので普通に反省してほしい。

 

H君とはその後も仲良くし、僕が事あるごとにメテオ・ドラゴン事件を引き合いに出すので、カードを盗むことも無くなった。

 

小学生の卒業と同時にH君との交流は途絶えてしまったが、噂によると高校時代はラグビー部で恵まれた体格を活かして大活躍していたらしい。フェアプレイを重んじる立派なラガーマンになっていて欲しいものだ。

 

そして穴の空いたメテオ・ドラゴンだが、彼は今も実家で他のカード達と一緒に保管してある。

 

彼は傷モノだし、安物だし、別に強くないが……正真正銘、世界に1枚だけの僕の相棒なのだ。