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小説「ジュラシック・パーク」の感想 ~グラントが強いってみんな知ってた?~

こんにちは、仕事が忙しい魚の精巣です。弊社のノー残業デーは廃止になりました。

 

さいきん質問箱を始めまして(遅い)映画の個人的オールタイムベスト3を教えてくださいという質問に、迷わず「ジュラシック・パーク」を入れるくらいにはジュラシック・パークシリーズが好きです。

 

でも、実は原作小説を読んだことが無かったので、ジュラシック・パークの話題の中に原作のことが出てくるとついていけない現象が発生していたんですね。

いつか原作も読みたいな~とは思っていつつも、意外と書店に並んでいなかったり、読書なんてする暇ねぇだろうなと思ってしまったりして、なかなか手が出ませんでした。

 

「暇ができたら読むか……」くらいの気持ちだったんですが、大きめの本屋さんをブラブラしているときに「ジュラシック・パーク」が平積みされているのを発見し、「あっ……」と思った次の瞬間に手に持っていました。

 

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そんな感じで「ジュラシック・パーク」の原作小説を手に入れて読んでみたんですが、これがページをめくる手が進む進む……

 

なんだこれ? 読みやすいな……ビリー・ミリガンとは大違いだな……

 

shirako-dayo.hatenablog.com

 

そもそも映画を何回も見ているので、話のだいたいの流れは知っているから、読解力が低くてもスラスラ読めるというもの大きいんでしょう。2、3日くらいで読み終わりました。

 

というわけで、今回は「ジュラシック・パーク」の原作小説の映画との違いをちょちょんと紹介しつつ、感想など述べていきたいと思います。

 

個人的にツボだった映画と原作の違い

映画と原作は話の大まかな流れは一緒ですが、細かい違いを挙げるとキリが無くなってしまうので、僕が「アッ! ここの違い面白いやんけ!」と思ったところを厳選して紹介していきます。

 

ツボだった違い① グラントが強い

主人公のグラント博士が映画と比べて明らかに強い。ちょっと笑っちゃう。

翼竜とタイマン勝負して勝ったり、ラプトルを次々とKILLしたりします、強い。

あと映画と違って子供好き。

 

ツボだった違い② ティムが万能な兄、レックスがクソガキな妹

映画ではレックスが姉、ティムが弟ですが、原作では逆になっています。この違いは色んなネット記事で散見されている内容なのですが、それに加えて映画では

 レックス(姉):PC系に強い

 ティム(弟) :恐竜に詳しい

という役割が分けられているのに対して、原作では

 ティム(兄) :PC系に強い、恐竜に詳しい

 レックス(妹):足を引っ張る

というように、役立つスキルはティムに全振りされているという状態で、はっきり言って原作のレックスはただのクソガキでした。

 

具体的にどう足をひっぱるかというと、「腹が減ったと文句ばかり言う」「支持を聞かない」「恐竜を見つけると大声で叫んで恐竜を呼び寄せる」など最悪です。

グラントが映画と同じで子供嫌いだったら、たぶんラプトル用の囮役にして見殺しにしたと思います。正直僕だったらそうする。読みながらめっちゃイライラした。

 

ツボだった違い③ ハモンドもクソジジイ

恐竜ケンタッキーおじさんことハモンドもクソジジイでした。

ハモンドは映画だと夢見がちで向こう見ずな大富豪のイメージですが、原作だと利益と自分の安全しか考えないケチな起業家って感じでした。

 

映画では、ハモンドは途中から協力的になったり、最後にグラント博士から「審査の結果、あなたのパークは許可できません」と言われて「当然だ!!」と返したりして、自分の過ちを認識した感があるのですが、原作では最後まで全くそんなところはなくひたすらクソジジイでした。

 

ノミのサーカスのくだりもありませんでしたしね……あれは映画オリジナルだったんですね。

 

ツボだった違い④ 管理システムの謎操作

映画ではレックスが管理システムを操作して扉のロックをかけますが、よく見るとここのシーンの画面操作って意味不明ですよね。なんかポリゴン画面をゲームみたいにピピピピピ……って動かしていってロックをかける、みたいな……。アレなんなの? そんな謎操作で管理システムを動かすことあるか??

 

まぁ映画の演出ですからああいう風になっているんでしょうが、僕はあのシーンを見るたびに「この謎操作、原作だとどういう風に書いてあるんだ……?」と常々思っていたわけです。そして今回、いよいよ判明したわけですが……。

 

タッチパネルでした*1

 

「タッチパネルかぁ~なるほどなぁ!」ってなったんですよ。すごいどうでもいいことかもしれないけど、解決して嬉しかったんですよ。それをティムが操作するんですが、原作の公開当時はタッチパネルが最新技術だったらしく、なんとタッチパネルだったのだ! 新しい!! みたいな感じで書かれていて時代を感じました。

 

ん? まてよ……タッチパネル操作でアクセスできるところにある管理システムっていうのも、なかなか謎じゃないか? ジュラシック・パークのセキュリティやっぱりザルか??

 

ツボだった違い⑤ ウー博士大活躍

恐竜を再生させたウー博士は、映画では恐竜ラボでちょっと施設を自慢して出番終了です。でも原作だとめっちゃ活躍します。

 

ウー博士は「ジュラシック・ワールド」から再登場して、マッドサイエンティストのヒール役として活躍していますが、原作では協力的で100%悪役ではないです(マッドサイエンティストなのは同じですが)。しかもちょっとパソコンに強い。なんなら、やらかしがちなチーフエンジニアのアーノルドよりも活躍したりします。

 

映画のウー博士だけ知っていると、いいことをしているウー博士が新鮮で楽しかったです。

 

ツボだった違い⑥ マルコムめっちゃ喋る

数学者のマルコム博士は映画同様小説でもTレックスにやられて寝たきりになるんですが、この時のマルコム博士がまぁよくしゃべることしゃべること。

最初はジュラシック・パーク全体のシステムの欠点について語っていたんですが、最終的に科学に傾倒している人類の愚かさや科学技術の発展に対する警鐘まで彼の口からもの凄い文字数のセリフで語られます。

 

作者のマイクル・クライトンはそういう科学主義の批判をテーマにした作品を多く残しているらしく(ここらへんは、他の作品を読んでいないのであまり詳しくないですが……)今作ではマルコム博士にその立場を取らせたんだろうなぁというのがヒシヒシと伝わってきました。

 

映画でも、原作同様にカオス理論を持ち出してパークの絶対安全性を否定するところまでは同じですが、「ジュラシック・パーク2」で子煩悩なパパのイメージになっていますね。

 

気付いたことというか、感想

ジュラシック・パーク」を読むことで、映画と原作の違いが大いに楽しめました。ほかにも、映画だけでは分からなかった細かい背景(例えば、ネドリーの裏切り計画の全貌)も補完できて、この物語のさらなる深みを知ったような気分になれました。

 

”深み”といえば、映画のジュラシック・パークシリーズはジュラシック・ワールドへと舞台が移って、どんどん世界感が広がっているわけですが(ユニバース化とでも言うんでしょうか)、原作を読んだ後だと”ワールド”の方にも「これ原作リスペクトなのでは?」と思える脚本や演出の深みがあることに気付かされました。

 

原作リスペクトっぽい部分……例えば、ジュラシック・ワールドからウー博士が恐竜を本格的にキメラ化し始めるんですが、原作でもウー博士はハモンドのようにリアル路線で恐竜を再生したい考えではなく、管理しやすいように恐竜を改造したい「改造派」なんですよね、そのことで原作でもハモンドと何度か意見が衝突したりするんですが……。

そういう考えを持つウー博士が20年後、再び恐竜の再生にかかわる時、恐竜同士を掛け合わせてキメラ化させることに至るのはあり得そうな話なのではないかと、妙に納得しましたね。

 

ジュラシック・ワールドだけではなく、2や3にもそういう部分があって、2の冒頭で女の子がプロコンプソグナトゥス(作中では「コンピー」という愛称で呼ばれています。カワイイ)に襲われるシーンは確実に原作から持ってきていますし、3ではグラント博士が原作のようにボートで川を下ったり、プテラノドンに蹴りを入れたりします翼竜タイマンマッチリスペクトか?)。

 

そして一番リスペクトっぽいと思ったのは、最新作「ジュラシック・ワールド 炎の王国」のラストの展開と、原作のラストが類似しているということです。これに関してはあまり書くとネタバレになっちゃうのでもう書きません。

 

もしかしたら、リスペクトというよりも原作の展開に準拠したストーリーを作っているだけということかもしれませんが、原作既読勢にしてみれば20年以上の時を経て、原作のラストを意識した展開へとつながっていくというのは非常に嬉しいことなのではないでしょうか。これはリスペクトと言っていいのでは?

 

「おぉ! ジュラシック・ワールド、原作のことをおろそかにしているわけじゃなかったんだ!!」と僕も目から恐竜のウロコが落ちました。

 

ジュラシック・ワールドはどう完結するのだろう?

ジュラシック・ワールドが原作を少しでも意識したストーリーになっている! こうなってくると完結作だといわれている次回作が気になります。

 

マイクル・クライトンの作風に近づけて、科学を乱用している人類に警鐘を鳴らすようなメッセージ性を強くした締め方にするのか

 

それとも恋愛、家族愛、人類愛、恐竜愛など、愛に満ちた締め方にするのか

 

はたまたひたすら恐竜が「ウワァ~~!!(ドンチャンドンチャン)」と騒ぎまくる非常にロードショー受けするような締め方でいくのか(個人的にこれだと楽しいんですが)

 

気になる次回作! そして原作小説の続編ロストワールドジュラシック・パーク2」も気になります! もしや、次回作のヒントとなる展開がもう書いてあったりするのでは……?

 

そんなこんなでこの記事はこういう締め方をしたいと思います。

 

自分が視聴済みの映画の原作にハマってきたので、今後はこのブログで感想をたくさん書けていけたらいいなぁと思っています。

とりあえず今「アンドロイドは電気羊の夢をみるか?」を読んでいる最中です。

 

以上、感想でした。

*1:これネタバレになります? なりませんよね、どうでもいい情報ですよね